実現されれば、多種多様な商材に関して、効果的な広告配信が可能になると思われます。
ヤフーが実験的に推し進めている健康関連プロジェクトが、今秋に本格始動する「HealthData Lab」です。
現在、「ゲノム解析サービス」の無料モニター(第2弾)を絶賛募集中。
約5,000の遺伝子を解析し、約100 種類の解析項目に関する体質やリスクに関する解析をおこないます。
病気の発症リスクや体質を分析することで、日本人の健康維持や医療費の抑制といった課題をデータドリブンで解決しようという野心的なプロジェクト。
ヤフーとしては新たな事業領域の開拓が主たる目的ではあるのですが、それとは別に、プロジェクトを通して取得するビッグデータを、既存事業へと利用させて頂くという方向性も、当然ながら忘れてはいないわけです。
すなわち、将来的には遺伝情報に連動した広告が計画されているということ。
現在はデータ収集に勤しむ段階であり、どのような広告配信が実現されるのかは想像の域を出ませんが、公開されている解析項目一覧を見る限りでは、例として以下のような広告配信が考えられます。
- 「病気のリスク」= 医療機関
- 「各種の体質」= サプリメント、健康食品
- 「円形脱毛症」「男性型脱毛症」= 育毛剤
- 「アトピー」「敏感肌」= 化粧品
- 「虫歯」「歯の発達」= 歯科医院
- 「飲酒量」「アルコール依存」「ニコチン依存」= 禁酒、禁煙
- 「胸囲」「腰のくびれ」「鼻筋の高さ」「お肌のシワ」= 美容整形
- 「IQ」「言語能力」「試行錯誤学習(学習能力)」= 通信教育、学習塾、語学学校
- 「筋力」「運動の効果」「運動習慣」= スポーツ関連商材
- 「強度近視」= 眼科、コンタクトレンズ
- 「経済・政治の関心」= 政党広告
- 「寿命」= Yahoo!エンディング
単なる「唾液」の分析でここまで多種多様な情報が得られるとは。
とりわけ身体的なコンプレックスに関連した広告はコンバージョンが獲れやすい例もありますから、広告主にとってはまさに垂涎の情報であると言えます。唾液だけに。
いずれにせよ、ユーザー本人すら気付いていないニーズを顕在化させた上で、機を見て最適な広告に触れさせるというのは広告戦略の基本のひとつ。
現在のターゲティング広告は「属性」「行動」といったデータに基づいて配信されていますが、さらに一歩踏み込んで、よりパーソナルな情報を利用したインターネット広告の配信が一般的に行われる時代が、すぐそこまで到来しているのかもしれません。