マルチスクリーン時代のリスティング広告は「コンテキスト」重視へと進化する

いわゆるエンハンストキャンペーンで言及されている「コンテキスト」について、Googleのスゴクエライ人(上級副社長兼最高事業責任者)がHarvard Business Reviewへの寄稿で語っています。

以下、一部抜粋。

But the truth is we won’t build the future of advertising device by device. We need to learn to look at these devices as a way of understanding the context in which consumers are looking for information.

真実は、広告の未来は「デバイス」単位で築かれるものではないということだ。私たちは「デバイス」の捉え方を学習する必要がある。これらのデバイスは「コンテキスト」、すなわち消費者が情報を探す「背景」について理解するための手段なのだ。

It’s how, when, and why people use their devices we should be paying attention to and less so the devices themselves.

注視すべきは、人々が彼らの所有するデバイスを「どのように」「いつ」そして「なぜ」使用するのかという点である。デバイスそのものはそれ程重要ではない。

Part of the reason for this is that we can no longer deduce a customer’s context purely by the device she is using. We used to assume that your mobile meant you were on the go, your tablet meant you were at home on the sofa, and your desktop meant you were at work, but this is no longer accurate.

その理由のひとつは、純粋に顧客が使用するデバイスの種類から背景にある「コンテキスト」を推測することができなくなってしまったからだ。かつては次のように推測していた。「モバイル」端末は外出中に使用され、「タブレット」は自宅のソファーの上で。そしてデスクトップPCが使用されるのは職場だと。しかし、そのような認識はもはや正しいとは言えない。

Today, most people constantly switch between devices in order to stay connected. And despite advertisers’ initial concerns, consumer eyeballs are not necessarily being “lost” from one screen to another. Rather than splitting a finite number of hours across a greater number of screens, consumers are often using multiple screens simultaneously. This is the new multiscreen world.

今日、ほとんどの人は絶えず複数の「デバイス」を切り替え、インターネットに接続し続けている。広告主が当初抱いていた懸念をよそに、消費者によるウェブサイト閲覧は、ひとつのデバイスから別のデバイス画面への切り替わりによって必ずしも「失われて」いるわけではない。限りある時間を多くのデバイス利用に「個別に割り振る」のではなく、むしろ消費者はしばしば複数のデバイス画面を「同時に」使用している。これが新たなるマルチスクリーン時代なのだ。

The multiscreen world creates opportunities for marketers by helping them reach people in the right context with the right message on any device.

マルチスクリーン時代は、マーケターに好機を生み出している。それは、人々に対し、適切な「コンテキスト」における最適なメッセージを、あらゆるデバイス上で伝えられるというチャンスだ。

Context-aware ads like this are more likely to get a positive response because they help people achieve something quickly and simply so they can get on with life.

コンテキストを意識した広告は、ユーザーから支持される可能性が高い。なぜなら、目的達成を「素早く」そして「簡単に」実現できるように手助けすることで、彼らの人生にプラスになるからだ。

Context-aware ads create a connection, they entertain, inspire and influence. They don’t feel like an intrusion because they provide a great experience that’s based on the user’s context. So rather than focus solely on the device as the centerpiece of your next campaign, go a level or two deeper to examine the context. That’s where the opportunities lie in today’s multiscreen world.

コンテキストを意識した広告は、ユーザーとつながり、彼らを楽しませ、刺激して、影響を与える。「押し付けがましい」と思われることはない。なぜなら、ユーザーの「コンテキスト」に即した素晴らしい体験を与えるからだ。したがって、あなたが運用する次回の広告キャンペーンの核心部分においては、単に「デバイス」に着目するよりもむしろ、もう少し深掘りして「コンテキスト」を分析してみてはいかがだろうか。そこに、今日のマルチスクリーン時代における「チャンス」が眠っているのだから。

Googleの中の人が書いた文章ですから、当然ながら「だからエンハンストキャンペーンを(以下略)」というにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!

とは言え、半分はポジショントークであるという点を差し引いてみても、「コンテキスト」ベースの広告が今後の主流になるだろうという主張に関しては、個人的にも深く首肯し同意せざるを得ない面があるのも確かです。

一方で、公表されているエンハンストキャンペーンの仕様が「コンテキスト」重視の広告配信に十分対応しているのかと聞かれれば、「そういえばGoogle Reader終わっちゃいますよねー。困ったなー」と口元に笑みを浮かべて強引に話題を変えつつも目が笑っていない自分がいるわけですが。

日本マーケットにおける地域識別の精度とかホントニダイジョウブデスカー。

しかし、現状はどうであれ、Google自らが「コンテキスト」重視と言っている以上、近い将来それに見合った広告配信システムにドヤ顔でアップデートしてくるでしょうし、そうなればヤフーも後ろから爆速で追っかけてくるという展開は、リスティング広告の未来像として容易に想像できるのです。

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