究極のターゲティング広告は「おもてなし」か「ストーカー」か?

前回の記事の最後で「よりパーソナル指向の強いターゲティング機能」と書きましたが、「パーソナル指向の強いターゲティング」って何? という方のために補足説明。

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パーソナル指向ターゲティング広告とは、「海外旅行に興味のある20代の女性」とか「首都圏在住の車好きな30代の男性」といったインタレストマッチレベルを超越し、ユーザーひとりひとりに対してパーソナライズされた、「あなただけのために」配信が行われる広告。ターゲティング広告の究極形態(アルティメット・シイング)であると言えます。

ヤフーはインタレストマッチをやめるぞ! ジョジョーーッ!!
ヤフーはインタレストマッチを超越するッ! YDNでだァーー!

Yahoo!ディスプレイアドネットワーク (YDN)

ズキュゥゥゥン

インターネットユーザーのさまざまな「プライバシー情報」を効果的に利用して配信される究極のターゲティング広告は、良く言えば「おもてなし」、悪く言えば「ストーカー」です。

そのような両面を併せ持ったターゲティング広告が世間に受け入れられるか否か、それは広告を配信する企業に対する、インターネットユーザーの「信頼度」に懸かっています。

例えば、日頃から定宿にしている一流ホテルに宿泊した際、

○○様、本日はお誕生日おめでとうございます

というメッセージカードを添えたシャンパンが部屋のテーブルの上に用意されていたら、おそらく100人中99人は好意的な印象を持つことでしょう。

さすが一流ホテル! 他のホテルにできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる! あこがれるゥ!

そういった状況において、「わたしの誕生日はプライバシー情報ですから勝手に利用しないでください」とフロントにクレームの電話を入れる宿泊客はめったにいないと思われます。

むしろ、過去の何気ない会話から自分の誕生日を覚えていてくれたホテルスタッフの「おもてなし」の心に感動するのではないでしょうか。

それは、このホテルはプライバシー情報を「けして悪用せず」そして「わたしのために活用してくれる」という一種の「信頼」、そして「特別扱い」してもらったという優越感があるからこそ抱く感情ではないかと思います。人はだれでも信頼する相手から特別扱いされることが大好き。

その一方で、終電でへとへとになりながら帰り着いた自宅の玄関ドア前に、

○○さん、お誕生日おめでとう。はあと

という手紙と一緒に、送り主不明のバラの花束と自作のラブポエムでも置かれていたら、深夜に絶叫しながらその場で即行スマホ取り出して110番通報ですね。

WRYYYYYY!
無駄無駄無駄無駄ァーーッ!!
そんな気色悪い告白で、私のハートが射止められるかァ!!!

何が言いたいかといえば、同じ「特別扱い」でも、相手に対する「信頼度」によって受け止め方は異なるということ。もしもバラの花束とポエムが自分の愛する人からのプレゼントであるならば、それはそれで嬉しいわけですから。(でもやっぱりポエムは嫌)

結論。

ターゲティング広告という名の「特別扱い」の行き着く先が、「おもてなし」となるか「ストーカー」となるかは、広告を配信する企業がインターネットユーザーからの「信頼」を得ているかどうかによって決まります。

「究極のターゲティング広告」に必要なのは「信頼」を得ることッ!
「信頼」を我が物とすることじゃあッ!!

「ターゲティング広告」賛歌は「信頼」の賛歌ッ!
「ターゲティング広告」のすばらしさは「信頼」のすばらしさ!!

繰り返しますが、ターゲティング広告の鍵となるパーソナルデータを収集する技術力があるだけではダメです。「この会社になら特別扱いされたい」と、ユーザーから全幅の信頼を寄せられるような企業こそが、将来のインターネット広告市場の覇者となるのではないか、と勝手に夢想しています。

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